NIMBY or YIMBY?(2008.8.8)
先日とある新聞で以下のような記事を見かけ、「えらいところにつくるもんだなあ」と感心してしまった話題から。
三井住友建設は、火葬施設を地中や海中に設ける「ジオ・フロント・ホール」構想をまとめ、建て替え時期を迎える火葬施設を持つ地方自治体への提案営業を開始した。都市部の地中や、都市沿岸の比較的浅い海中などに火葬施設を埋設したり、洋上に浮体構造物として火葬施設を整備する案などを提案している。火葬施設は、建て替えや増設などのニーズが高まっているが、立地に当たって周辺住民の理解が得にくく、整備が思うように進まないのが現状で、同社は施設整備の新たなあり方として提案する考え。関連企業との技術提携も視野に入れ、構想の具体化を目指す。
火葬施設は、地域に欠かせない施設だが、特に都市部では需要がひっ迫した状態にある。今後、需要はさらに高まると見込まれ、整備を急ぐことが求められているが、建設に当たっては周辺住民の強い反対に遭いやすく、自治体の立地計画は思うように進んでいない。同社では土木と建築の技術を融合させた建設エンジニアリングの観点から新たな施設のあり方を提案していく考えだ。
(2008.8.8日刊建設工業新聞)
確かにたいていの人は居住地の近くで葬儀を行うことでしょうから、人口が集中する都市部では当然火葬施設ニーズも高まるはずですね。いまや都市住民にとっては、新たに墓地を確保するのは住宅取得より困難なことだとも言われています。しかし、亡くなってしまった愛する人を見送りに海底や地下深くに出向くシーンを想像すると、そこが最後のお別れというセレモニーにふさわしい場になるのか?という疑問を感じてしまったりもしますね。
例え良さげな遊休地があったとしても、このような施設は簡単に立地することができません。いわゆる嫌悪施設、忌避施設、迷惑施設と認識される施設が近隣に立地していると、不動産鑑定評価も落ちるとして、大きな住民抵抗に遭ってしまうわけです。
最近では、この種の施設のことをNIMBY(ニンビー)※と呼ぶのだそうです。
ウィキペディアによると、NIMBYの対象となる施設としては、主観も含まれ判断が分かれるが、一般的には発電所、原子力関連施設、廃棄物処理場、下水処理場、軍事基地、公共交通機関(車輌基地など)、刑務所、精神科病院、食肉処理施設、火葬場などが挙げられるそうです。一方、忌避されるが故にその設置を受け入れた場合は税制面などで優遇されることがあり、核関連施設などを積極的に誘致する自治体もみられるとのこと。
パチンコ店や風俗店、ゲームセンターなどは、騒音や風紀の乱れ、景観面の影響を懸念して嫌悪される施設です。高圧鉄塔や携帯電話の基地アンテナなども電圧の影響を受ける場合もあって、嫌悪される施設のひとつでしょうね。 面白いことに、住宅整備の仕事に携わって知ったのですが、最近では学校なども子供達の甲高い声がやかましいという理由から、嫌悪の対象となってしまう場合もあるのです。逆に子育て世代からは、「学校は住まいに近い方がよい」と歓迎される場合もあります。
このような状況を見ていると、確かに環境面の汚染や災害時等の被害影響を想定して嫌悪される施設もありますが、一種の住民エゴによって嫌悪施設に位置づけられてしまうものもありそうで、なかなか難しい問題であります。 かと思えば、こんな記事も見つけました。
立川基地跡の複合型嫌悪施設、市民団体が対案
米軍立川基地跡に少年院等の受け入れを計画中の昭島市に対し、市民団体の「昭島まちづくりフォーラム」がそういう施設を含まない案を提示したとのこと。
法務省は医療刑務所や少年鑑別所などの機能を持つ複合型嫌悪施設「(仮称)国際法務総合センター」を建てる構想を掲げているという。19~22haに都内に点在する刑務所施設等を大集結させるそうだ。計画地は天皇陛下在位50年記念で設置された国営昭和記念公園の隣という。
(2008.4.29)
複合型嫌悪施設とは、これまたえげつない響きをもつ言葉じゃないですか。
ちなみに友人から聞いた話ですが、小学校の隣に建つとある産婦人科医院では、妊婦さんの出産時に発する呻き声が開いた窓から時々洩れ聞こえ、子供達が恐ろしがって授業に集中できないので迷惑していると言われているのだとか。色々なものが迷惑施設と化す時代になっていますね。
逆に見れば、NIMBYならぬYIMBY(NotではなくてYes)で、「わが家の近所に大歓迎!」「おかげで地価も上がって大助かり!」な施設って一体何なのでしょうね。
※Not In My Back Yard(自分の裏庭にはあって欲しくない)の略
文責:chie

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