2つのライフスタイルを実現するサービスアパートメントとは? (2008.10.3)
最近、都心部では「サービスアパートメント(SA)」という聞き慣れない事業名称をよく耳にしませんか?
都心部でのオフィス供給は賃料下落状態となり、住宅供給においても分譲マンションの中古空室物件が増加しつつあり、JR西日本や日本郵政等新たにマンション建設事業に参入する事業者も増え、一方では経営破綻や撤退も相次ぐというかなり厳しい状況にありながら、なぜか「SA事業」はイケイケドンドン!な様子に見えます。
そもそもこのサービスアパートメントとは、一般的には「家具付き高級賃貸マンション」を指しているようで、さらに詳しく定義すると、「礼金敷金不要(入退居が楽)、家具付き、フロントサービスを備えた部屋の提供で、利用者と一ヶ月以上の賃貸契約を結ぶもの」となりそうで、数年前から首都圏を中心に続々と話題の物件が開発されてきました。
例えば、茶室やテラスの露天風呂、ホームシアター、スパやプールを併設した「フレッグバードパーク」(東京目黒)※、最新鋭のマシンを揃えたフィットネスセンターとビジネスセンター、24時間フロントサービス、定期的なハウスキーピングやコンシェルジュサービスを提供する「オークウッドプレミア東京ミッドタウン」(東京赤坂)、「マリオット・エグゼクティブ・アパートメント」(東京愛宕)、「ハイアットレジデンシャルスイート」(福岡百道浜)等々、高級ホテルとどう違うのか悩ましい物件が多数開発されています。実際高級ホテルとフランチャイズを結んでいる物件もあります。さらにもう少し設備ダウンした物件をみると、従来型の「マンスリーアパート」と限りなく近しいのかとも思えてきます。
今年に入ってからは、関西でも京都を皮切りに神戸、大阪等にも同様の施設立地がみられるようになり、森ビル、三菱地所、大和ハウス工業、シスコ・アセット・マネージメント等の事業者が健闘中のようです。ホテルからSAへコンバージョンする事例も増えているとのこと。
一方、この影響を受けてか、関西では肝心のホテル事業はなかなか進まず、神戸では最近相次いでホテル建設プロジェクトが頓挫し、遷都記念事業に向けて大型ホテル誘致を切望する奈良市でも事業者が見つからずに苦労されているようです。
※フレッグインターナショナルは、六本木、恵比寿、西麻布等に同様のSAを続々と開発中
そこでこれらの物件紹介を行うサイトを確認してみると、なかなかゴージャスでスタイリッシュ!なおかつ英語表記が前面に出されているということは、どうやら日本人ユーザーを重視していないようなのです。
さらに調査を進めると、そもそもSA事業が活発なのはシンガポールやバンコクをはじめとするアジアの国際都市で、外国人ビジネスマンの滞在利用を主として供給されてきたとか。賃料は通常マンションよりも高めですが、高級ホテル並みのサービスを一定期間連続的に受けるとすればお安い!という判断になるのでしょうね。供給側もオフィスよりは高い賃料を収受でき、マンション事業とは差別化ができるわけです。
今後、日本が国際的ビジネス拠点として成長していくなら、これらのSA事業もまだまだ伸びる可能性があるといえるでしょう。
一方、別荘やセカンドハウスを自己所有する代わりに気軽にSAを利用して豊かなくらしを楽しむ、一定期間の業務のためにSOHO代わりに利用するというライフスタイルは一部の日本人層にも受け入れられやすいのかもしれません。例えば首都圏のSAではビジネス利用が主体となり、関西エリアではこれよりややレジャーにシフトした長期滞在目的でSA利用が定着していくのかもしれませんね。
ところでこのSA事業は、法制度面ではどこに位置づけられるのでしょうか?
調べたところによると、SAの営業を直接規律する法制度はなく、物件によって不動産賃貸業(借地借家法に準拠する)の場合と、旅館業法に基づくホテル事業として行う場合があるようです。
つまり、事業者の立場からは、旅館業法に準拠する場合、都道府県への許可申請を要し、施設構造設備、設置場所の規制への適合に配慮することとなり、一方で賃貸住宅事業として実施する場合には、建築基準法に準拠するため構造設備や立地環境において自由度が高まるといえます。
さて、この新しい事業(業態?)は、どこまで伸びるものなのでしょうね?
文責:chie

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